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そもそも「新電力」とは?大手電力会社との違いや仕組みをわかりやすく解説

いま、この記事を読んでいるディスプレイの電気。どこの発電所で作られたものか、わかりますか。

答えは「誰にもわからない」です。電力会社の人にもわかりません。

電気には色も名前もついていません。火力発電所で作られた電気も、隣町の太陽光パネルで作られた電気も、電線に入ると、区別がつかなくなります。

それなのに、2016年から「電力会社を選べる」ようになりました。

電気は同じなのに、何を選んでいるのでしょう。

この疑問の答えが、新電力の仕組みそのものです。「新電力に変えると電気が弱くなる?」「会社が潰れたら暗くなる?」という不安も、答えは同じところにあります。

この記事でわかること
  • 新電力が生まれた理由と、大手電力会社との本当の違い
  • 切り替えても電気の質・停電対応が変わらない、その物理的な理由
  • 新電力を選ぶ3つのメリットと、ひとつの注意点
  • 大垣の公共施設の屋根から始まっている「地域新電力」の話

そもそも「新電力」とは?

新電力とは、ひとことで言えば「電気を売る会社」です。作る会社でも、届ける会社でもありません。

なぜ売るだけで成り立つのかは、電気が「選べなかった時代」を知るとわかります。

2016年の「電力自由化」でできた新しい電力会社

戦後から2016年まで、日本では電気を選べませんでした。

大垣に住んでいれば中部電力。東京なら東京電力。北海道なら北海道電力。全国を10のエリアに分けて、それぞれ1社が発電から家庭への販売まで一手に担っていました。1951年からおよそ65年間、ずっとです。

電話会社は選べる。ガソリンスタンドも、銀行も選べる。でも電気だけは、引っ越し先の住所で自動的に決まる。そういう時代が長く続きました。

最初に変わったのは2000年で、工場やデパートのような大量に電気を使うところから、電力会社を選べるようになりました。対象はその後、少しずつ広がっていきます。

家庭まで広がるきっかけになったのが、2011年の東日本大震災です。計画停電を経験して、「1社にすべてを任せる仕組みは、いざというとき弱い」ことが国全体で共有されました。電力システムの見直しが進み、2016年4月1日、家庭用の電気も全面的に自由化されます。

これ以降に新しく電気の販売を始めた会社を、まとめて「新電力」と呼びます。

大手電力との違いは「販売窓口」だけ

電気が家に届くまでには、3つの仕事があります。

  1. 発電:電気を作る(火力・水力・太陽光など)
  2. 送配電:電線で運ぶ
  3. 小売:お客さんと契約して、料金をもらう

自由化前は、この3つを大手電力会社が1社でやっていました。2016年に開放されたのは「小売」だけで、「送配電」は今も自由化されていません。西濃エリアの電線を管理しているのは中部電力パワーグリッドという会社で、新電力に切り替えても、電気はこの同じ電線を通って家に来ます。

実はこの形態は格安スマホと同じ構造です。

格安スマホの会社は、自前の設備を持っていません。大手キャリアの電波を借りて、料金プランや売り方を工夫して売っています。安くできるのも、電波の質が大手と同じなのも、そのためです。

新電力は、その電気版です。電線を持たず、料金と売り方で勝負する会社。

私たちが「電力会社を選ぶ」とき、選んでいるのは電気ではありません。誰に電気代を払うか。困ったときに誰に電話するか。 その2つです。

【コラム】新電力って怪しくないの?

聞いたことのない会社が電気を売っている。そう見えることはあると思います。

ただ、電気を売るには経済産業省への登録が必要で、審査を通らないと1kWhも売れません。登録すると「A」から始まる番号が割り当てられ、資源エネルギー庁のサイトで全社を確認できます。無登録で電気を売ることは、法律上できません。

登録事業者は、2016年4月末の291社から、2026年9月末には820社に増えました。

顔ぶれは、ガス会社、携帯電話会社、鉄道会社、石油会社、生協、そしてケーブルテレビ会社。もともとお客さんとつながりのある会社が、電気もいっしょに扱うようになっています。

大垣ケーブルテレビもそのひとつで、登録番号はA0997。この記事を書いている私たちのことです。

新電力に切り替えたら、電気の品質や停電時の対応はどうなる?

結論からお伝えしますと、何も変わりません。

「たぶん大丈夫」ではなく、物理的に変わりようがない、という意味です。

電気の品質は今までと一切変わらない

新電力に変えると電気が弱くなる、家電の調子が悪くなる。そう心配する声は実際にあります。

けれど電気は、変わりません。家に送る電気を「この会社の分だけ選り分けて届ける」ことは、技術的にできません。

契約先が変わっても、流れてくる電気は同じ。変わるのは、電気代を支払う会社の名前だけです。

停電時もこれまで通り大手電力が復旧する

台風の夜に停電したとき、電柱に登って復旧作業をするのは誰でしょう。

契約している新電力ではありません。送配電を管理している一般送配電事業者の方たちです。

「新電力だから復旧が後回し」は、仕組み上ありえません。

万が一、会社が倒産・撤退しても電気は止まらない

2021年度、新電力の倒産は14件で過去最多。供給停止や撤退まで含めると31社にのぼりました(帝国データバンク調べ)。

多くの新電力は、電気を卸市場で仕入れて、お客さんには固定料金で売っていました。そこへ世界的な燃料価格の高騰が直撃し、仕入れ値が売り値を上回った。売れば売るほど赤字が膨らむ状態に追い込まれたのです。

では、その会社と契約していた家には電気が送られなくなったのか。

そうはなりませんでした。電気事業法には「最終保障供給」という仕組みがあり、契約先がなくなった家庭には、一般送配電会社(西濃なら中部電力パワーグリッド)が電気を届け続ける義務を負っています。撤退する会社にも、事前にお客様へ知らせる義務があります。

新電力の倒産で家の電気が止まる事態は、制度として起きないように作られています。

「市場から仕入れて固定で売る」だけの商売の弱さは業界全体にはっきり見えました。どんな新電力が安定していて、どんな新電力が危ないのかは、またの機会にお伝えいたします。

新電力はここが魅力!知っておきたい3つの特徴

電気も設備も変わらない。では、何が変わるのか。

①電気代が安くなる可能性がある

新電力は発電所も電線も持っていません。巨大な設備を維持する固定費がない分、料金を低く設定する余地があります。

ただし、余地があるだけで、必ず安くなるわけではありません。

②生活スタイルに合わせてプランやセット割を選べる

値段より大きく変わったのは、選択肢です。

昼間に家にいない人向けの、夜間が割安なプラン。使った分だけ払う、基本料金ゼロのプラン。ガスや携帯、ケーブルテレビとまとめて、請求書を1枚にするセット。

65年間、電気料金は住所で決まるものでした。それが、自分の暮らしに合わせて選ぶものになりました。

③工事不要、手続きだけで手軽に始められる

設備は同じなので、切り替えに工事はいりません。

申し込むのは新しい会社だけで、いま契約している会社への解約連絡は新しい会社が代わりに行います。

電気メーターがまだ古いタイプなら、スマートメーターへの交換が必要となることがありますが、費用はかからず、立ち会いも原則いりません。

【注意点】ただし誰でも安くなるわけではない

料金プランは各社が自由に設計しているので、「たくさん使う家庭向け」「夜型の家庭向け」というように、それぞれ得意があります。

一人暮らしで使用量が極端に少ない。プランの想定と生活時間帯がずれている。こういう家庭では、切り替えても安くならず、むしろ少し高くなることもあります。

「絶対に安くなる」とうたう会社があったら、少し注意が必要です。

実は身近なところにも!地元で選べる「地域新電力」

毎月払っている電気代は、どこへ行くのでしょうか。

全国の大手にはない地域密着ならではの安心感がある

大手電力会社に払った電気代は、名古屋や東京の本社へ集まっていきます。地元の経済からは、いったん出ていくお金です。

「地域新電力」は、この流れを変えようという発想から生まれました。

環境省では、自治体が関わって運営し、電気事業の収益を地域の課題解決に使う会社を「地域新電力」と呼びます。地元で太陽光や水力の電気を作り、地元の家庭に売る。

集まったお金は地域に残り、地元の雇用や行政サービスに回ります。

電気を選ぶことが、地元にお金を残す選択にもなるわけです。

大垣ケーブルテレビが取り組む「エコロカでんき」

西濃エリアにも、この形の新電力があります。

2025年、大垣市と大垣ケーブルテレビは「ゼロカーボンシティ連携協定」を結びました。この協定のもと、市内の小中学校など9カ所の屋根に太陽光パネルを設置し、2026年4月から発電が始まっています。

年間の発電量は約169万kWh。学校が使う分を除いた余剰は、約150世帯分の電気に相当します。

お子さんやお孫さんが通う学校の屋根で作られた電気を家庭に届けるのが「エコロカでんき」です。

大垣ケーブルテレビは35年以上、約6万世帯にテレビとインターネットを届けてきました。ケーブルテレビ会社が自ら地域新電力に参入するのは、東海3県で初めてです。

提供エリアは西濃9市町(大垣市、海津市、池田町、揖斐川町、安八町、神戸町、垂井町、関ケ原町)。わからないことは、本社(大垣市中野町3-31)の窓口で直接聞けます。

まとめ:新電力は「電気そのもの」ではなく「契約先」を選ぶ仕組み

電気は同じなのに、何を選んでいるのか。

この記事のポイント
  • 電気そのものは選べない。届く電気は同じ
  • 電線も選べない。
  • 選べるのは「契約先」だけ。誰に電気代を払い、誰に相談するか

新電力に変えても、電気の質は変わらず、停電の復旧も変わらず、会社が倒れても電気は止まりません。変わるのは、料金プランの選択肢と、支払い先と、困ったときに電話する相手です。

これまで住所で決まっていたものが、自分で決められるようになった。それが新電力という仕組みです。

大垣ケーブルテレビをご契約いただいている方は、電気をまとめたときに電気代がどう変わるのか、料金シミュレーションでぜひ確かめてみてください。

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この記事を書いた人
大垣ケーブルテレビ担当者

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